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ときのこえ
2024.03.01(金)

ときのこえ2024年2月号

レントに咲くバラ

 西村和江


 冬のガーデニングを楽しむ人々に近年大変人気なのが、クリスマスローズです。冬の季節に可憐な花をつけ、和名では「初雪起こし」とも言われているとおり、たとえ雪の中でもその慎ましい姿で見るものを楽しませています。日本でよく見るクリスマスローズは2月から3月に花をつけており、多くの人はクリスマスではないのに、なぜクリスマスローズと呼ばれるのかと疑問に感じているかもしれません。

 地中海沿岸から中部ヨーロッパ生まれのこの花は、もともとの品種が12月に花をつけるクリスマスローズと、2月から3月に花をつけるレンテンローズの二種類に分かれているのですが、日本ではどちらもクリスマスローズの名前で親しまれるようになったという経緯があるようです。

 レンテンローズの名前は「レントに咲くバラ」という意味ですが、「レント」が何を意味するかご存じでしょうか?

 キリスト教の暦を意識したカレンダーには、2月中旬の水曜日に「レントに入る」または、「灰の水曜日」と記されています。レントとは「受難節」を意味しています。イースター(復活祭)に備える準備期間として、イースターまでの日曜日を除く40日間、キリストの十字架という受難の出来事を心に留めつつ過ごします。今年は2月14日からレントが始まります。

 ふだん、私たちの心は地位や名声、物や金銭、快楽といった様々なものを求めがちですが、この時期は特に、自分の弱さや罪と向き合い、祈りを献げる時を過ごしたいと願っています。

 なぜなら、イエス・キリストの十字架の苦しみは、すべての人を罪から救うためであったからです。イエスは罪を一つも犯さなかったにもかかわらず、当時の宗教指導者の妬みと弟子の裏切りによって逮捕され、不当な裁判にかけられ、罪人として、十字架という痛ましい刑罰を受けて死なれました。

 聖書は、逮捕から十字架に至る受難の出来事の中でイエスと弟子たちの生々しい姿を描いています。ユダという弟子は、金貨を受け取ってイエスを売り渡したのち失敗に気づきますが、もう神の赦しを信じることができずに自ら命を絶ちます。同じくイエスを知らないと宣言して裏切ってしまったもう一人の弟子ペトロは、罪を悔いて激しく泣きますが、後にイエスのもとに立ち返りました。

 光と闇が交差するようなこれらの人間ドラマは、決して他人事ではなく、私たちの心の中に存在する日々の葛藤にも重なるのではないでしょうか。頭ではわかっているのに口をついて出てくる言葉は時に人を傷つけ、他の人よりも自分を甘やかしてしまう、そのような行動や言葉を引き起こす、罪がすべての人の心に潜んでいるからです。

 そのような私たちのためにこそ、イエスは十字架にかかられました。すべての人の罪を担い、十字架の苦しみを受けた救い主イエス・キリストによって、わたしたちの罪が必ず赦され、救われる道が開かれたのです。聖書にこうあります。

彼の受けた懲らしめによって わたしたちに平和が与えられ
彼の受けた傷によって、わたしたちはいやされた。
イザヤ書53章5節

 このレントの季節、寒さの中に立ち続けるレンテンローズを見る時に、この約束を思い出してください。春を待ち、咲き続ける美しい花々のように、苦難の時期を乗り越えることができますように。皆さんの心が光の春に向かって守られ支えられるように、とお祈りいたします。

(救世軍士官〔伝道者〕)

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