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救世軍では、毎年四月に「酒害強調週間」を守っています。今年は4月7日〜13日の間で、酒の害を警告し、救世軍が創業当時から取り組んできたアルコール依存症者を支援する働きを知らせています。
私たちは、自分を、自立した個性をもった自由な存在と考えますが、事実は、誰もが何かに頼らなければ生きていけない、弱く、依存性の強い生き物なのです。アルコールに依存しすぎると、アルコール依存症になる危険があります。
アルコール依存症者は、昔は「アル中」と言われ、社会的な差別や偏見で見られがちでした。彼らは、酒を飲み過ぎて問題を起こす人、意志の弱いだらしない人たちと考えられてきたのです。確かに、アルコール依存症者は、当の本人だけの問題で済みません。人間関係や社会的信用にも大きな支障を生じさせ、自身の健康を失うだけでなく、家族や仕事も失ってしまいます。ドヤ街で一人寂しく死ぬ人がいることも事実です。
しかし、皆さんに知っていただきたいことは、アルコール依存症は病気である、ということです。例えば、風邪にかかり、高熱を出してうなって寝ている人に、「あなたは、意志が弱いから風邪になったのだ」とは言わないでしょう。正しい治療を受け、投薬や安静によって回復するよう配慮します。それと同じように、アルコール依存症という病気も、すぐに病院に行って治療を受けられるようにすることが必要なのです。それが先決であり重要です。
アルコール依存症は、アルコールのもつ依存性によって発病する病気で、薬物依存の一つです。ひと言で言えば、飲酒によっていろいろな悪い結果が起こっているにもかかわらず、飲み続けてしまう状態です。その症状は、
第一段階、酒にどんどん強くなる。これを、耐性と言いますが、同じ量のアルコールを飲んでも、だんだん酔わなくなっていくことを言います。酔って気分が良くなるまでのアルコールの量が、増えていきます。
第二段階、コントロール障害が起こります。アルコールの量をコントロールして飲むことができなくなります。コントロール障害になると、一生回復せず、いわゆる正常な酒飲みには戻れません。何十年飲まずにいても、一滴のアルコールが体内に入ると、再び飲み始めてしまうのです。健康や家庭生活、仕事などに支障が生じることがわかっていても飲み続けます。これ以上飲むと命が危ないと医者に言われても、飲酒がもとで離婚話が出ていても、今度飲んだら解雇されると言われていても、それでも飲み続けるのが、アルコール依存症です。
第三段階、アルコールが切れると不快な離脱症状―気持ちが落ち着かない、手が震えるなど―が出てきます。そこで、その症状を治めるためにまた飲みます。アルコールが体内に入ると離脱症状が治ります。不眠を解消するために飲むことも同じ理由です。この離脱症状が怖くて、酒を断つことができないという人がいます。離脱症状を治すために飲酒するという悪循環を断ち切らなければなりません。そのためには、完全断酒するほかないのです。
回復の第一歩は、病気についての知識を身につけることです。次に、自分はアルコール依存症であると認めることです。そして、飲んでしまう自分自身に自助グループの必要性を認めることです。残念ですが、アルコール依存症は一人で回復することは不可能です。断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)という自助グループの先行く仲間たちが必要です。なぜなら、アルコール依存症は、試行錯誤を繰り返しながら回復に向かっていく病気だからです。(参考資料:森岡洋著『よくわかるアルコール依存症―その正体と治し方』)
救世軍男子社会奉仕センターは、アルコール依存症者支援施設です。ここでは、毎朝、朝礼で聖書からメッセージを聞き、スピリチュアルなケアがなされます。そして、毎週「人と物との再生」をモットーに掲げるバザー場での働きを通して、その作業工程や空間で心と体の基礎力が培われます。この日々の通所作業の繰り返しによって、飲まない生活を徐々に身につけていくのです。アルコール依存症からの回復を願う方は、ぜひ、ご相談ください。
アルコール依存症という病気は、大変苦労がありますが、その苦労をした人にしか得られない境地や気づきというものがあります。
「それゆえ、わたしは弱さ、侮辱、窮乏、迫害、そして行き詰まりの状態にあっても、キリストのために満足しています。なぜなら、わたしは弱いときにこそ強いからです。」(コリントの信徒への手紙二 12章10節)
自分は弱い存在であり、それゆえ、本当に頼るべきもの―イエス・キリスト―を認めるなら、キリストによる「再生」がなされます。そのような人に、神は、酒に依存しない人生を歩む道を開いてくださると信じるものです。
(救世軍士官〔伝道者〕)
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