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ときのこえ
2021.08.01(日)

ときのこえ 2021年7月号

魂の救いのために―昔も今も将来も

西村 保

7月2日、救世軍が創立156周年を迎える。

1869年代、救世軍の創立者ウイリアム・ブースは、ある夜、東ロンドンのはずれの居酒屋の前を通る。人々の様子をつぶさに目撃し、その夜、妻カサリンに言った。

「……今夜という今夜、わたしは今、初めて自分の一生の運命を発見した。……キラキラと輝く光のもとで燃えるような強い飲料に身を焼く人々の群がる居酒屋の前を通ったとき、わたしはたちまち一種の天来の声を聞いた。『どこにこんな神を知らない人々がいようか。どこにこのように神を離れた異教徒を見いだすことができようか。彼らを救うにまさって急を要することが、ほかにあろうか』。」(『救世軍のルーツ探訪』より) 

そしてウイリアム・ブースは、人々の必要に心を注ぎ、特に社会から疎外された貧しい人々に眼差しを向けて、「スープ、ソープ、サルベーション」という三つのSに表される、「食べ物の必要な人には食物を、住む家のない人には清潔な家や仕事を提供し、その上で魂の救いのため聖書のメッセージ」を伝えたのである。この頃(1865年)の東ロンドンのスラムにはコレラが流行し始めて、住民の生活には「無気味な死の手」が迫っていた。

現在、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、世界で300万を超える人々が死亡し、日本国内でも73万を超える人々が感染、1万2千人を超える人々が命を失っている。(2021年5月下旬現在)仕事を失い、家を失い、食べ物がない状態は、形は違うかもしれないが、一八六五年のロンドンと同じような状況が起こっていると言っても過言ではないのではないか。

このような状況下で、ICT技術が発展し、携帯電話や、オンラインでの会議を開くシステム等が盛んに用いられるようになった。緊急事態宣言が出されても、在宅ワークが求められ、在宅でのオンライン授業がおこなわれるなど、不十分ながら対策が練られている。新型コロナウイルス感染症で様々なものが寸断されているが、それを繋ぐ技術が発達してきている。

しかし、どんなに技術が発達しても、神様と人間を繋ぐ技術を見つけることはできない。わたしたち人間には、衣食住と共に魂の問題があり、神様を認めず、自分勝手に生きる「的外れ」な状態、つまり「罪」がある。イエス・キリストは、わたしたちのこの「罪」のために、身代わりとなって十字架にかかって死んでくださった。神様と人の断絶状態が、イエス・キリストという懸け橋によって繋がり、解決されたのである。しかし、多くの人々はこの「救い」を知らずに生きている。

「……キリストと結ばれる人はだれでも、新しく創造された者なのです。古いものは過ぎ去り、新しいものが生じた。これらはすべて神から出ることであって、神は、キリストを通してわたしたちを御自分と和解させ、また、和解のために奉仕する任務をわたしたちにお授けになりました。」(コリントの信徒への手紙二 5章17、18節)

救世軍が創立した時にも、今も、苦しみはあり、将来も苦しみはあるのではないか。聖書には「あなたがたには世で苦難がある」(ヨハネによる福音書16章33節)と示されている。しかし、どのような状況下にも、救世軍は、神様と人を繋ぐ働き―和解の働きをゆだねられている。この務めを果たすため、小隊(教会にあたる)の働きを通し、コミュニティーの働きを通し、病院、社会福祉施設の働きを通して、「スープ、ソープ、サルベーション」をおこない、人々に寄り添い続けるのである。

救世軍のドアはすべての人に開かれています。一度お訪ねください。

(救世軍士官〔伝道者〕)

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