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勝地次郎
「東ロンドンのすべての人に天国がある―立ち止まって考え、キリストを救い主と信じる者には天国がある。」
1865年の7月、蒸し暑い夏の夕方、東ロンドンのマイル・エンドの「ブラインド・ベガー」という居酒屋の前で、そう叫んだ人がいました。妻カサリンと共に、救世軍の働きを始めたウイリアム・ブースです。居酒屋の中からは、野次や罵声が飛び出し、ブースの周りには、聴衆が群がりました。その後ろから投げられた卵が顔に命中し、黄身がゆっくりと頬をつたって流れると、彼は話を中止して静かに祈り、帽子を目深にかぶって、急ぎ足で立ち去ったのです。救世軍の働きは、このブースの伝道から始まっています。
「すべての人に天国がある!」これは、なんと力強く、なんと祝福に満ちた言葉でしょう。悲しみは喜びに、失望は希望に、疑いは確信に変わる世界が指し示されているからです。19世紀のイギリスは、産業革命により貧困などの社会問題が発生していましたが、東ロンドンの貧民街に暮らす人々について、ブースはこう記しています。
― 勤労階級の三分の二以上は、いまだかつて教会堂の門をくぐったことなく、日曜には怠惰であったり、快楽を求めたり、または何か金儲けの取引に耽った。その結果、幾万かの人々は、全く福音につき無知である。―
居酒屋の前で、乱酔悪罵する人々を見た時、「どこに行ってこんな異教徒(真の神を知らない人)を見いだし得るだろうか。お前の勤労をこれほどに多く要する場所があろうか?」と天来の声がブースの耳に響いたのです。そして、彼は帰宅した後、妻カサリンに「今にして自分の終生の運命を発見した」と告げ、彼らは一切を献げて、悩み、苦しむ人々の救いに挺身したのです。
働きは英国各地に広がり、「東ロンドン伝道会」、「キリスト教伝道会」として発展し、やがて1878年、「キリスト教伝道会は救世軍である」という霊感をブースが受けたことをきっかけにして、「救世軍」(Salvation Army)が誕生していきました。そして、今や、132の国と地域で活動するに至っています。
創業期の救世軍を描いた『再生の人』(ハロルド・ベグビー著)には、ケート・リーという女性の救世軍士官により起こされた、人々の目覚ましい回心談が記されています。彼女は、ロンドンのはずれで、貧しい暗黒の世界に生きていた多くの人々のために祈り、支え、彼らを「再生の人」へと導いていったのです。リンダ・ボンド大将(第19代救世軍大将)は、救世軍の使命について、こう言っています。
― 神によって建てられ、聖霊に満たされた、21世紀の救世軍。それは、傷を負い、痛み、破壊され、孤独な、失われたこの世に向かって、ひとつとなって前進するように召されている軍隊。イエス・キリストによる変革のメッセージを携え、あらゆる方法をもって、この世に出て行く軍隊である。―
イエス・キリストは、その宣教の初めに、こう宣言されました。
「悔い改めよ。天の国は近づいた。」(マタイによる福音書4章17節)
神に立ち帰れ、天の国が到来したから、と説かれたのです。
「立ち止まって考え、キリストを救い主と信じる者には天国がある。」
ブースも、今を生きるあなたにそう呼びかけています。
(救世軍士官〔伝道者〕)
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