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朝澤義人
最初に、皆さんに質問があります。「2185」。この数字は人間しかもっていない、ある数を表しています。何だかわかりますか?
正解は、人の感情の数です。感情というと「喜怒哀楽」の四つを思いますが、喜び、怒り、悲しみ、楽しさの中にもさらにいろいろな感情があるそうです。最近は「エモい」という言葉も使われて、感情の動きを表しています。
そのような感情を人間にお与えになったのは神様です。聖書にこう書かれています。フィリピの信徒への手紙4章6~7節。
「何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。 そうすれば、あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう。」
このフィリピとは、ギリシャにある小さな町で、伝道者パウロがヨーロッパで初めて福音を伝えた地域です。フィリピには教会ができ、クリスチャンが増し加えられていきました。その人たちを励ますためにパウロが書いたのが、フィリピの信徒への手紙です。実はパウロはこの時、鎖につながれ、牢獄にいながら、この手紙を書いていました。考えてみてください。普通だったら、そのような状況では不安と恐怖で何も手につきません。自分は、これからどのような刑罰を受けるのだろう、どのような生涯を送るんだろう、と。
私たちにも不安や恐怖は起こってきます。新しい年度が始まり、学校や職場が変わっている人も多いと思います。希望はあるけれど、どこか不安でもある時期です。環境が変わり、知らない友達、知らない同僚と出会っていきます。また、新たな立場になり、責任を負わなければならない方もいるでしょう。期待と不安が入り混じり、こんな思いを知られたくない、とどこか無理して「喜んでいます」「期待しています」と言ってしまう自分がいるかもしれません。
パウロはいろいろな迫害に遭うなかで、当然、不安や恐怖、さらに「私にはなぜこんなことばかり起こるんですか」という嘆きの感情がいっぱいあったでしょう。しかし、彼はどうすればいいか知っていたのです。それが先ほどの御言葉です。
何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。そうすれば、……あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう。
パウロは、自分の感情を誰に打ち明ければいいのか、わかっていました。すべての思いをイエス様にもっていくことを知っていたのです。神でありキリスト(救い主)であるイエス様は私たちに、何でも打ち明けてほしいと願っておられます。
本当はキツイこと、無理していること。周囲の目を気にして、無理して演じている自分であること。そのことをイエス様はわかってくださいます。「ホントにキツイよね」「ホントに頑張っているよね」と労り、受け止めてくださいます。そして私たちの無理している部分、苦しい部分、傷んでいる部分を癒してくださるのです。
皆さんの中で、今、苦しく、無理している方があるかもしれません。どんな思いも唯一わかってくださるのは、イエス様です。そのことを覚え、何でもイエス様に打ち明けてみましょう。皆さんの心が解放されることをお祈りしています。
(救世軍士官〔伝道者〕)
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