お知らせ

NEWS
ときのこえ
2024.09.01(日)

ときのこえ2024年8月号

静かに響く自然の声

 眞鍋和枝


 あなたは日常生活で、どのような人間関係をもっているでしょうか? 私たちを取り巻く環境は、急激に変化しました。スマホで写真や動画を撮れば、簡単にSNSで世界中に発信できます。問題が起こったら生成AIから情報を得て解決し、煩わしい人間関係はありません。職場でも学校でもオンラインで会議や授業ができ、PCやタブレットを持ち歩けば、どこででも誰とでも、その場でつながることができます。便利な時代になりました。

 先日、テレビ番組でゴリラを取り上げていました。アメリカの動物園で、来園者がスマホで動画をゴリラに見せると、ゴリラは大変興味を示し、そのうちに手を左右に振ってスマホの画面を変えるように要求し始めたというのです。その動画が拡散され、千五百万回アクセスされて話題になりました。カナダのトロント動物園では、ゴリラ舎の前に、こんな注意書きが貼られたそうです。

 「ゴリラに動画などを見せないでください!」

 なぜそのような張り紙が貼られたかと言えば、あまりに多くの人がゴリラにスマホで動画を見せるので、ゴリラが釘付けになってしまい、その結果、ゴリラ本来の行動をとらなくなったからです。食事もとらず、家族とも交流を避け、兄ゴリラとの喧嘩が絶えなくなってしまったそうです。そこで動物園ではゴリラにスマホを見せることを禁止。その後は再び、本来のゴリラに戻ったとのことでした。

 スマホで動画を見過ぎたゴリラに変調が現れたということは、人間にも同様な事が起こっているのではないでしょうか? ゴリラは知能が高く、優しく、じっくり物事を観察して、自分で正しい判断をする動物で、時間をかけて信頼関係を構築すれば、相手が人であっても、気持ちが通じ合い、良い関係が築けるそうです。本来、人間もそうなのではないでしょうか。

 しかし、多くの人はいつの間にか、対面での人間関係を避けるようになり、自分の世界に閉じこもり、SNSや、いろいろな情報ツールの中で生きるようになりました。電車や乗り物に乗ると誰もがスマホを見ています。皆同じことをしていて、一種異様な光景に思えます。また、情報が氾濫し、選択肢が多過ぎて、自分で考えたり、判断したりすることが難しくなってしまっていることも事実です。私たちは、たくさんの人工的な音にも囲まれ、本来私たちがもちあわせているはずの本能や感覚が衰えてしまっているのではないでしょうか。

 旧約聖書の詩編に次のような言葉があります。

天は神の栄光を物語り 大空は御手の業を示す。昼は昼に語り伝え 
夜は夜に知識を送る。話すことも、語ることもなく 声は聞こえなくても
その響きは全地に その言葉は世界の果てに向かう。
詩編19編2~5節

 聖書は、天地を造り、人間を造られた唯一の神がおられ、その神が私たちを愛し、大切に思っておられることを語っています。

 今年の夏休み、神の物語を聞くために、スマホやPCを置き、街の雑踏から離れてのんびりと自然の中で、自然の響きに耳を傾けてみませんか? 人工の音に囲まれている時には気づかない、生の、生きている自然の息遣いに、きっと、心が洗われることでしょう。

(救世軍士官〔伝道者〕)

ときのこえ2024年8月1日号をダウンロード(PDF)

あなたの支援で
救える人々がいます

あなたの小さな心遣いで貧困や病気に苦しんでいる人、教育を受けられない子どもたち、災害の被災者などを助けることができます。あなたの想いを彼らに届けることができます。ご支援という形で寄付に参加してみませんか。

寄付をしてみる