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ときのこえ
2025.04.01(火)

ときのこえ2025年3月号

起きなさい

 石川和男


 三月は桃の節句、女の子のお祭りですね。「明かりを点けましょ ぼんぼりに……今日は楽しいひな祭り」―どこからかあの歌が聞こえてきます。娘たちが健やかに、幸せに暮らしていけるように、親たちは心を込めてひな人形を飾り、料理を用意し、忙しい中にも楽しい時を過ごすのでしょう。しかし、そんな期待や祈りのようにいかない時もあります。わが子が難病を抱えているとわかったり、思いもかけず行方不明になってしまったり、それでも親はその子のために祈ります。この子が幸せでありますように、と。

 聖書にもそんな両親が登場します。ヤイロとその妻です。ヤイロはユダヤ教の会堂長でした。ユダヤ教礼拝所の責任者であり、人々から最も尊敬を受けていた人物でした。そのヤイロと妻は、自分たちの娘を看取ろうとしていたのです。親にとってこんなに不幸なことがあるでしょうか。娘を救おうと躍起になったヤイロは、今評判の旅の説教師「イエス」という男の噂を耳にします。噂によると「イエス」は人々の病気を癒し、悪霊を追い出し、嵐を静めたそうな。そんなすごい先生がいるのなら、ぜひうちの娘のところに来てもらいたい。彼は一念発起してこの「イエス」のもとへ駆けつけます。イエスを見つけるとヤイロはなりふり構わず彼の前にひれ伏して、「わたしの幼い娘が死にそうです。どうか、おいでになって手を置いてやってください。そうすれば、娘は助かり、生きるでしょう」と叫びました(マルコによる福音書5章23節)。

 イエスはこの切羽詰まった父親を見て同情されたのでしょう。すぐヤイロと一緒に彼の家へ向かわれたのでした。しかし、一行がヤイロの家に着いた時には、ヤイロの娘は冷たくなって寝床に寝かされていました。けれどイエスは動じず、三人の弟子と両親と共に子どものいる所へ入り、少女の手を取って「タリタ クム(娘よ、起きなさい)」と言われました。すると少女は起き上がり、歩き出したのでした。人々は我を忘れるほど驚いた、と聖書は伝えています。

 「起きなさい。」死から生へ。イエスは私たちを死から生へ導かれるお方です。死んだような現代人の生活に真の命を吹き込まれます。毎日同じことをして、何のために生きているのかがわからなくなった、と嘆いたことはないでしょうか。この世は私たちに効率と競争を求めてきます。私たちはともするとこの中で自分自身を見失い、生きる意味を見失ってしまいます。しかしイエスはそんな私たちに「起きなさい」と声をかけてくださいます。立ち上がりなさい、そして私の命に来なさい。そうすればあなたたちに命、本当の生きる意味が与えられる。イエスの言葉はそれほどまでに力をもっているのです。

 イエスはまた、このような言葉をわたしたちに語りかけています。

疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。
わたしは柔和で謙遜な者だから、わたしの軛を負い、わたしに学びなさい。
そうすれば、あなたがたは安らぎを得られる。
わたしの軛は負いやすく、わたしの荷は軽いからである。
マタイによる福音書11章28~30節

 あなたもイエスの命の中に来ませんか。

(救世軍士官〔伝道者〕)

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