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クリスマスは光の祭典です。きらびやかなイルミネーションの光に、心を奪われることもあるでしょう。しかし、
「わたしは世の光である。わたしに従う者は暗くら闇やみの中を歩かず、命の光を持つ」(ヨハネによる福音書8章12節)と言われた主イエスこそ、クリスマスの主人公であり、あらゆる光に優る「まことの光」なのです。
第二次世界大戦末期の沖縄戦は、極めて悲惨なものだったと伝えられています。戦争で片足を失ったある女性の人生も、本当に気の毒なものでした。愛する子どもは栄養失調で死んでしまい、頼りにしていた夫は、彼女を見捨てて家を出てしまったのです。絶望のあまり、自ら命を絶とうと思っていた彼女の元に、ある日、一通の手紙が届きました。それは、ハワイに住んでいるクリスチャンの従姉妹からのものでした。そこにはこう記されていたのです。
「どんなに辛つらくても、決して死んではいけません。人生の悲哀のどん底で泣き叫ぶあなたのことが、生ける神の耳に届きました。今、あなたが必要な助け人を紹介しましょう。その方はイエス・キリストです。この方に心身をお任せしなさい。きっと、光と命の道を見いだすことでしょう。」
この手紙を手にした彼女は、聖書を読み始め、ある夜、徹夜で祈りました。神様の膝にとりすがる思いで、彼女の生涯・全存在を託すことを決意し、心から祈りました。その翌日の朝、彼女は不思議な体験をしました。身体が本当に軽くなり、心の底から何とも言えない暖かいものがこみ上げ、神の愛に満たされた実感を得たのです。この体験を経て回心(神の子イエス・キリストを信じ、神中心の生き方に方向転換すること)し、キリスト教の伝道者となった彼女は、人生を振り返って、こう言っています。
「人間は価値がなくなると捨ててしまいます。しかし、神の愛は、取るに足りない者を拾ひろい上げて、造り変えて用いてくださいます。私は魂の安息を与えられました。変わらぬ喜びと愛と平和の心です。」
そうです。イエス・キリストは、信じる者の人生に「変わらぬ喜びと愛と平和」を与えてくださる「まことの光」なのです。
イエス・キリストの生涯を歌った歌に「馬槽のなかに」(『讃美歌』121番〔日本基督教団出版局〕)があります。
馬槽のなかに うぶごえあげ、
木工の家に ひととなりて、
貧しきうれい、生くるなやみ、
つぶさになめし この人を見よ。
と歌い始めたこの歌は、
この人を見よ、この人にぞ、
こよなき愛は あらわれたる、
この人を見よ、この人こそ、
人となりたる 活ける神なれ。
と結ばれています。
「この人」―イエス・キリストの「こよなき愛」は、人間の罪の身代わりに架けられた十字架の上で、ご自分を敵視していた人々のために献ささげた祈りの言葉に秘められています。
「父よ、彼らをお赦ゆるしください。自分が何をしているのか知らないのです。」
(ルカによる福音書23章34節)
人の愚かな罪を裁くのではなく、ご自身の死によって、信じる者の罪を赦し、永遠の命に導くことこそ、神の独子イエスの使命でありました。このことを、ヨハネによる福音書ではこう記しています。
「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。神が御子を世に遣わされたのは、世を裁くためではなく、御子によって世が救われるためである。」(ヨハネによる福音書3章16、17節)
家畜小屋に生まれ、馬槽に寝かされた幼おさなご子イエスは、十字架に死に、三日目に復活された救い主ぬしであったのです。
「起きよ、光を放て。あなたを照らす光は昇り主の栄光はあなたの上に輝く。見よ、闇は地を覆おおい 暗黒が国々を包んでいる。しかし、あなたの上には主が輝き出いで 主の栄光があなたの上に現れる。」
(イザヤ書60章1、2節)
これは、神の言葉を人々に伝える預言者が、主イエスの誕生の何百年も前に、ユダヤ人たちに対して語った言葉です。しかし、これはまた、戦争、殺人、失業、児童虐待などが絶えることのない現代に生きる私たちに対する、希望のメッセージでもあるのです。
天地創造の時、「光あれ」(創世記1章3節)と言われた神は、今も「あなたを照らす光は昇り 主の栄光はあなたの上に輝く」と、私たちに力強く語っておられるのです。
このクリスマスの時、皆様のうちに、「まことの光」なる主イエスによる救いと輝く希望がありますよう、お祈りいたします。
(救世軍士官〔伝道者〕・司令官)
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