ときのこえ 2021年4月号

復活の命　ブライアン・ペドル

イースターの物語は、命と希望を共鳴させるものです。そして、今日の世界は、いかにこの命と希望を切望していることでしょうか。旧約聖書は、メシア到来の預言という希望を何年も保持し続けました。旧約聖書と新約聖書の間の長い沈黙の期間にも、人々は、神が御自分の民と、民への約束を忘れてはおられない、という希望を堅持していました。そしてその希望は、イエスが肉体と血を有する人間のかたちをとられたことによって、神が、彼の民の叫びを覚え続けておられたことを、人々に確かに示したのでした。そして、人々が希望を抱き続けたことは無駄ではなかった、と確認させてくださったのです。

わたしたちは、徴税人と行動を共にし、罪人とされた人々と食事をし、不道徳と疑われていた女性と話しながらも、その誰をも非難することをせず、赦し、愛するという模範を示されたイエスを見ます。わたしたちは、恵みと真理の輝かしい融合をイエスのうちに見ることができます。イエスが水をぶどう酒に変え、目の見えない人に視力を与え、足の不自由な人を歩かせ、悪霊を追い出し、重い病を癒し、風と波を制御されるのを見る中で、イエスに畏敬の念を抱き、その不思議を思います。また、わたしたち自身、神の尽きることのない力を見るのです。

イエスが十字架に架けられた金曜日、イエスの肉体から命が失われ、希望がなくなったように見えました。この、たとえ話や洞察に満ちた教えや奇跡で人々を魅了した魅力的な男は、社会構造と人間存在の奥深くに大きな影響を与える力をもっておられました。しかし、そのイエスが、十字架で殺され、墓に納められました。それは、まるで何者かが明かりを消して、わたしたちの希望に蓋をしたかのように見え、またそう感じさせました。ところが、その後、本当に驚くべき、人生を造りかえ、そして、世界を変える事件が起こったのです。墓の入り口をふさいでいた大きな石が転がされており、墓には、ただイエスの体を包んでいた布が残されていました。なぜなら、イエスが復活されたのです！　光はかつてないほど輝きを増しました。また、わたしたちの希望は、新たな高みを見いだしました。

イースターは、単に過去の出来事を思い出す時ではありません。わたしたちは、復活の命が、日々の経験となることを自分自身の心に刻むようにイースターを祝うのです。今、わたしたちが経験しているパンデミックは、時に、イエスが十字架に架けられた金曜日のようだと感じさせます。明かりが消され、希望に蓋がされたかのように。自然災害、病気、失業、離婚、薬物依存、破産、家庭内暴力、人種差別など多くのことが、わたしたちの人生に起こり、わたしたちもこの金曜日に等しい状況にあるように感じるでしょう。しかし、イエス・キリストの生涯と死と復活は、神があらゆる状況にもわたしたちと共におられること、神は、どのような状況よりも大きく、力ある方であること、そして、神は奇跡をおこない、不可能と思われることに対処できるお方であることを思い起こさせてくださいます。

わたしたちが自分自身を諦めてしまったときにも、神は、わたしたちを信じ続けておられます。わたしたちが愛されていないと感じるときにも、神は、イエスによってその愛を示してくださいます。人生で最大の過ちを犯したと感じるときにも、神はイエスを通して赦しを与えてくださいます。暗闇の中で息詰まる思いをしているときにも、神は、その臨在の光を照らしてくださいます。絶望しているときには、イエスによる希望を与えてくださるのです。

この復活の命は、満ち足りて豊かな、完全な、全き命であることがわかります。この復活の命は、新しい命です。なぜなら、それはキリストよる命であり、責めを受ける罪のない命です。この復活の命は、イエスを救い主として受け入れた瞬間から始まり、永遠に続きます。わたしたちの中で神の力が解き放たれるので、その復活の命はダイナミックなものです。この変化はわたしたちの内側から始まり、すべての見方を変化させます。

最初のイースターの朝、イエスが生きておられること、すべての約束は成就した、という認識が、ローマの占領下にあって様々な制約の中にいた弟子たちの生き方すべてを変えました。今や彼らは、永遠の視点を得、王国が霊的な王国であること、また、神がすべてを支配されていることを理解しました。そのように理解したことによって弟子たちは、この世界における生活をどのように理解し、それにどのように応答するかが変えられたのです。それは、イエス・キリストの輝かしい光が彼らのうちに輝き、永遠の希望が確かなものとされたことによります。彼らは、それまでの弟子とは全く変えられました。同じように、この復活の力をわたしたちが得るとき、わたしたちも、神によって全く変えていただけるのです。

神が、復活されたキリストを祝う皆さまを祝福してくださいますように。アーメン

（救世軍士官〔伝道者〕万国総督）