ときのこえ2022年8月号

誘惑への対処法

　ウェンディ・モーリス

　あなたは、誰にも見られていない時、どんな誘惑に駆られますか？　私は、家に一人でいてアイスクリームの大きな箱を持っていたら、夫の分まで食べてしまいたくなる強い誘惑を感じます！　きっと、「それはささいなことだ！」と思われるかもしれません。けれど、私たちは皆、さまざまな誘惑を受けるので、注意して心を備える必要があります。罪を犯す誘惑に駆られたとき、どうすればいいのでしょう？

　新約聖書には、悪魔が荒れ野でイエスを誘惑し、イエスが三種類の誘惑それぞれにどう対応したかが記されています（マタイによる福音書4章1～11節）。神は、イエスが安全な場所にいる時ではなく、荒れ野にいて疲れ果て、孤独で空腹な時に誘惑を受けることを許されました。そして、私たちが誘惑を受けるのも、肉体的に疲れている時、孤独な時、将来への疑問に直面している時、たいていそのような時です。

　この誘惑による試練の出来事は、イエスが人であったことを示し、私たちが誘惑に遭う時に倣うべき模範を示しています。イエスは誘惑されましたが、誘惑には屈しませんでした。イエスは、私たちの誘惑との闘いを理解してくださり、誘惑に対処し罪に打ち勝つための鍵を示してくださっています。イエスの助けがあれば、誘惑の圧力に耐えることができるのです。

　悪魔の最初の誘惑は、四十日間の断食後のイエスに、その空腹を満たすために石をパンに変えて肉体の必要を満たさせようとしたことでした。しかし、イエスはすぐに聖書の言葉（申命記8章3節）を引用し、「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる」と、神が自分の必要を満たしてくださると断言しました。誘惑と闘うための最初の鍵は、神の御言葉（聖書）を知り、神と親密な関係を保って生きることや、神が日々備えてくださっている恵みの約束について聖書が何と語っているかを知ることです。毎日、聖書を学び、神と対話する時間をもつなら、自分の考えではなく神の霊に導かれて生きるようになるでしょう。

　二番目の誘惑で、悪魔はイエスに、権力と支配を求めて神に挑戦するようにそそのかしました。悪魔は、神殿の一番高い所から飛び降りるようにイエスに勧め、聖句を不適切に使って、神が天使を遣わしてイエスを危険から守るだろう、と言いました。しかし、イエスはここでも、聖書の言葉（申命記6章16節）を適切に引用し、「あなたの神である主を試してはならない」と言われました。神の存在を示す証拠を求めるのは魅力的かもしれませんが、神は私たちが信仰によって生きることを望んでおられるのです。誘惑に対処するための第二の鍵は、信仰を深めるために時間を費やすことです。他のクリスチャンと共に礼拝に出席しましょう。誘惑に負けて間違った選択をしたり、神があなたを大切に思っていることの証拠を求めそうになる時に、信仰の友があなたを戒め、励ましてくれるでしょう。

　最後に、悪魔はイエスにこの世の力を提供して自分を拝むように誘惑しましたが、イエスは力強くお答えになりました。「退け、サタン。『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある」と。悪魔は十字架という犠牲を伴わないこの世の栄光を差し出し、イエスの視点をゆがめようとしたのです。悪魔は今日、私たちにも、物質的な富や楽な生活で誘惑しようとします。第三の鍵は、この地上での生活は一時的なものですが、天国での命は永遠であると知ることです！　あなたを最も愛してくださっている神との将来の栄光を、目先の満足のために犠牲にしないようにしましょう。地上にいる間、私たちは罪と闘いますが、神の力により、その闘いに負けることはないのです。

　三つの誘惑を退けたイエスについて聖書はこう記しています。「そこで、悪魔は離れ去った。すると、天使たちが来てイエスに仕えた。」（マタイによる福音書4章11節）私はこの言葉が好きです。あなたが誘惑に耐えるとき、天使がイエスのもとに来たように、神の守りと配慮があなたにあり、イエスに対する信仰が強められて生きることができると確信しています。

（救世軍士官〔伝道者〕）